問題の先送りは良くないねぇ

読書

こんにちはノラネコです。月一回の読書感想文を書いてみます。今回のタイトルは「小説8050」という林真理子さんが書かれたフィクション小説になります。

タイトルや帯にある「父さんと死のう」という文言を見ただけで暗い内容なんだろうなと思っていたのですが、実際にかなり重い内容だとは思います。スゲー読みやすかったのでバッカーな俺でも二時間くらいで一気に読み進めてしまいました。

簡単に内容説明すると主人公は歯科医院を経営する大澤正樹(たぶん50代)という者で、家族構成は妻と長女、長男の四人家族。しかし長男(20歳)は中学時代に、とある事が原因で7年間も引きこもってしまっている。

因みに長女は社会人で独立しており、近々結婚する予定なのだが引きこもりの弟が疎ましくなっている模様。正樹と妻は息子を立ち直らせようと色々な対策を講じるが上手くいかず、逆に長男は反発してしまい罵声を浴びせたり挙句には暴力までふるってしまう。

妻とも不仲になり長女からも「結婚の障害になるから何とかしろ」とせかされるという、そんな破滅的なやり取りの中で正樹は息子が引きこもってしまった本当の理由を知ることになったのだが・・・

大まかなストーリーはそんな感じ

本の中に登場する家族構成から「元農水事務次官長男殺害事件」がモデルになっているのかなぁ?なんて思ったんだけどバッドエンドではないです。息子は殺されていないし、引きこもりに対して今までどこか他人事のように捉えていた父親も問題に向き合い解決に向けて奔走したことにより、家族の崩壊を何とか食い止めている。

息子も物語の途中で自殺未遂などを起こし心身ともにボロボロになってしまったが最後は前向きに生きようとしますし、長女も最初は自分の事しか考えていない冷酷な人物だと思っていましたが、そんな事はなかったです。途中まで内容が重くてどんな結末になるかと思っていたのだが、希望の持てるラストでこっちまで救われた気分になる。

でも実際の元事務次官の事件では息子の引きこもりが原因で、娘の婚約が何度も破談となった末に娘は自殺。その息子も最後には父親に殺害されている。因みに本の中でもこの事件やこれより少し前に起こった「川崎市登戸通り魔事件」の名前が出ており、主人公の近所で「8050問題」絡みの騒動なんかも起こったりもしている。

本での父親の年齢は50歳代、息子は20歳なんで正確には8050ではないんだけど、早めに然るべき対策しないとやがては8050問題という泥沼にハマってしまう・・・そんな事を著者は伝えたかったんですかね?本の帯には「希望に涙」とか尾木ママのコメントが載っていたけどさ、現在8050の状況ある方がこれを読んでしまうと逆に絶望的な気分になってしまうのではないかと思うんだけどね・・・

あと著者はタイガースファンなんか?

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